STORY
薔薇と創業者
少し変わり者だったという創業者。
祖父にあたりますが私は会ったことがありません。父は遅い子供だったので、祖父が病気に倒れた時はまだ私の両親は結婚前でした。
創業者の祖父は大学を中退し、織物の技術と経営を学び、和装の図案を描く仕事などを経て戦後まもなく中梅織物を創業しました。
当時はまだほとんどの人が和服を着ていましたが、これからの時代をよみ、洋装に付ける西陣織の織ネーム製造を始めました。
後にたくさんの和装業社が畳まれていったことを思えばその先見性こそが我が社が現在も続いている所以と考えます。
父の話によると、祖父はなぜか若者の流行をいち早く知っていて、「お前は○○に行かないのか?」とか「○○には興味ないのか?」などと父すらまだ知らない流行りの話をしていたそうです。今のようにSNSもなく、情報が十分でない時代ですから謎多き人です。そして洋装に目を付けたということも納得できます。
地域にかかわる活動もしていたようで、車社会となり、車道を長く歩いて登校する子供達がかわいそうだと小学校を増やす運動をしたり、差別のない社会を目指し、部落開放の運動をしていたそうです。会って色々話をしてみたかったとつくづく思います。
その後、会社は父の叔父が継ぎ、後に父が継ぎ、私の代となり現在に至っています。
祖父が若いころに庭に植えて大事に育てていた薔薇があります。祖母がその後面倒をみて、結婚して我が家にやってきた母が受け継ぎ育ててきて、現在も庭で咲いています。
祖父が亡くなって60年以上経ちますが、薔薇は毎年新芽を伸ばし小さなつぼみをつけその後綺麗な花を咲かせます。
その花を見るたびに祖父のことを思います。何かを訴え、あるいは何かを戒め、あるいは慰めてくれているそのように感じます。
会ったこともない祖父と薔薇が引き合わせてくれ、生々しく思いに触れて、受け継がれたものを大切にする決意となっています。
OUTLINE
会社名 | 中梅織物株式会社 |
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創業 | 1951年(昭和26年)3月16日 |
代表取締役 | 木下仁美 |
所在地 | 〒602-0012 |
TEL | 075-441-4367 |
FAX | 075-415-0041 |